いつまでも夢をみさせて
『Dream』
この曲は、Sexy Zoneの8枚目のオリジナルアルバム、『ザ・ハイライト』の収録曲である。
『PAGES』に収録されている『make me bright』と同様に、アーティストのiriさんが作詞・作曲を手がけている。
さて、iriさん提供ということで、聴く前から好きだったこの曲は、もちろん聴いたら大好きだったのだが、ザ・アリーナツアーを経て、自分の中で特別な曲となった。
歌詞の解釈も、オタクの種類も、オタクの数だけあると思っているから、ここから先は、あくまでも私個人の解釈である。
そして松島担なので、聡くんの話ばかり出てくるが、ご容赦願いたい。
ライブ本編の最後、挨拶の後。
Sexy Zoneが何かを伝えるためにここに持ってきたのは明白である。
「僕たちSexy Zoneが皆さんの普通によりそえるような、一緒にいてもらえるような、そんな存在になれたら。」
「たとえ、離れることがあるとしても、またくっつくことがあったとしても、どこかで僕たちは、必ず繋がっている、そんな思いもこめて」
「夢のようなひとときの終わりに、この曲で。」
そんな風磨くんの曲フリとともに始まったこの曲。
そこら中に溢れている恋愛という解釈ではなく、「アイドルとファン」という、恋愛に限りなく近い、でも決して恋愛ではないこの関係に思いを馳せて、きっと、Sexy Zoneは歌っていた。
だから「僕」はSexy Zoneで、「君」は私たちファンのことなのだろう。
揺さぶる夜の中で
二人はどこへいく
にじむのは僕にだけ
見えている世界だっけ?
もし、私がSexy Zoneから離れてしまう日が来たとしたら。
ずっとSexy Zoneだけをみていた訳ではないし、何回も離れようと思ったことはあった。Sexy Zoneはあくまでも趣味であって、私の人生で最優先するべきものでもない。
私が離れることなんてもちろん実際にSexy Zoneには伝わらなくて、「僕」の視界が涙でにじむこともない。そして、その時に私が泣くこともないのだろう。
恋愛ではないのだから。
放り出された恋の行方は静かで
君が笑うたびはじけ舞い上がるEveryday
きらめいた景色だけが
微笑み続けるだなんて…
Sexy Zoneから離れてしまったとしたら、もうSexy Zoneに思いを馳せることも少なくなって、それこそこの「恋」は終わりもせず、ただ放り出されるのだろう。
他の楽しいことを経験するたびに、このきらめきに満ちあふれた毎日が、シャボン玉が割れるように消えていってしまうのだろう。
それじゃ 何も
Don't wanna cry
知りたくないよ
数え切れない
合い言葉も
君と僕にしかない
この野暮なやりとりも
夢みたいに綺麗に消えて Ok?
それならば、そんな気持ちでファンが離れていくことなんて、知りたくもないし、泣きたくもないのだろう。
Sexy Zoneとファンの間でしか伝わらない、数え切れないほどの合い言葉。他からみたらくだらなくて意味のわからない、私たちにとっては大切なやりとり。
それらが、Sexy Zoneから離れることで、夢みたいに消えてしまってもいいのだろうか。
本当はどこか深く
しまってる君がいて
いつの日か伝えたい
大丈夫、そんな君も
このあとに続くのは、「好き」だか、「愛している」だか、そんな言葉だろう。
SexyZoneのことが好きだから、口に出さない感情や言葉があって、誰にも吐き出さずにそっとしまい込むことが何度もあった。
そんなことを考える時点でダメなのかなと思ってしまう面倒なオタクでもいいよと言ってもらえているみたいで嬉しいけれど、でもやっぱり違うことを考えてしまう。
最初に「君」は「ファン」かなと書いたけれども、メンバーのことを歌っているようにも捉えられる。
だって、なんといってもふまけんが歌ってくれているのだから、弟たちのことを考えてしまうのも仕方ない。
SexyZoneは、みんなが大人になって、環境も変わって、ようやく本音を正しく伝え合えるような関係になれたのかな、と。
変わり始めたSexyZoneに、誰よりも急激に大人になった彼が戻ってきたら、最強なんじゃないかな、と。
変わるがわる日々が招く儚い Break up day
脆くなぞる頬を撫でる涙が綺麗で
Break up dayは直訳すれば「別れた日」。
一番で、「にじむのは僕にだけ見えている世界だっけ?」と言っているけれど、「君」も結局泣いている。
「彼」のことをおもって離れた人は、泣いているのだろうか。
グループについていけなくなって、苦しくて離れた人の涙を、彼らは見ているのだろうか。
さて、涙といえば、6/19の夜公演の挨拶で、聡くんは、最近嬉し泣きが多いと言いながら、言葉に詰まってしまった。
「こんなに嬉しくて泣けるって本当に幸せなことだと思います。」
と涙ながらに自担に語られて、誰がこの先も応援したいも思わずにいられようか。
その後のDreamのCメロから落ちサビあたりで、リフターからペンライトの海を眺めていた聡くんが、また涙ぐんでいて、それこそその頬を伝う涙があまりにも綺麗で、苦しくなってしまった。
だって、こんな、腹筋やら、パンイチやらにニヤニヤしてる自分が、そんな綺麗な涙をみてもいいのだろうかと思ってしまって、聡くんの視界に入らないであろう位置に立っていたことが救いで、悔しくて、泣きそうで、泣けなかった。
私は双眼鏡でずっとのぞいていたのだが、きっとモニターでその聡くんが抜かれたのだろう、一瞬にしてざわついた会場も温かくて、なぜか私が幸せだった。
曲の最後で、センステを挟んで反対側のリフターから降りた健人くんと、センステで合流して肩を組むのだけれども、その日は健人くんが心配するように聡くんの目を覗き込んでいて、その目が優しくて、甘やかで、SexyZoneっていいなぁ、と改めて思ったものである。
「この先、皆さんが僕たちのことをずっと応援してくれているかもしれないし、離れていってしまうかもしれない。そんな時、いつでも僕たちは1つに繋がっている、その思いを胸にいてくれたらと思っています。」
「僕たちSexy Zoneと、みなさんで、もう少し、待ってみるのはどうでしょうか。」
北海道2日目からはこのような言葉に変わった曲フリは、果たして、誰のことを思ってのことだろうか。
遠回りでもいいから
ここで僕と待つのはどうだい
はやく、はやく。戻ってきて。
私のエゴでしかないこの思いも、「大丈夫、そんな君も」と言ってくれているのだろうか。
あくまでも、提案であって、強制じゃない。それならば。
それじゃ 何も
Don't wanna cry
忘れたくないよ
2サビだけ「忘れたくないよ」と歌っているのは、やっぱり、この日々を、忘れたくないと願っているからではないだろうか。
繋いだままで
いれたらいいね
何度離れ離れになっても
慣れない世界で君を見つけて
それだけで何もいらないでしょう
好きでい続けるのは、好きでいられ続けるのは、きっととても難しいことで、だからこそ切実な願いだ。
何度、離れたとしても。
それじゃさよなら
僕らのたわいない日々よ
たとえどこかで会えたとしても
そっと目を逸らして
また歩き続けるでしょう
夢みたいに綺麗に消えて…
あくまでも夢を、前を見る歌詞を痛切に歌い上げる健人くん。
夢を見られず、諦めの滲んだ歌詞を、穏やかに、寂しげに歌い上げる風磨くん。
「知りたくないよ」
「夢みたいに綺麗に消えてOk?」
風磨くんの諦めを否定するかのように、この曲は1サビを繰り返した全員のパートで終わる。
一度離れたら戻ってくることは簡単なことではなくて、どこかで見かけたとしても、懐かしい思い出として処理して、また、SexyZoneのいない人生を歩む人も多くいるのだろう。
SexyZoneは、いま、とても輝いているけれど、やっぱり不安定なところにいるように感じる。
あくまでも、私の意見であるが。
新曲は10ヶ月出なかったし、シングルは昨年の8月に出てから、まだ発表もされていない。(6月現在)
歌番組とワイドショーを除き、メンバー全員で出た番組は、VS嵐が最後だったように記憶している。
ツアーの開始もずれ、個人仕事は過去にないほど充実しているけれど、メンバーが揃っているのを見る機会は確実に減った。
そして、私は、なんとなく、勝手に、卒業したら戻ってくると思っていた彼が、戻ってこなかった。
だから、ツアーが外れたらオタ卒しよう、そう決めた。
結局ツアーは行けることになったし、こんな曲を聴いてしまったから、聡くんの晴れやかな笑顔を見てしまったから、私はオタ卒なんて出来ないのだけれども。
SexyZoneは、わかっているんだろうな、と思う。
ファンの不満も、ファンの喜びも。
私は今までずっと、彼については、SNS上での発言を避けていた。
何を言っても彼のことを特別に好きな人たちを傷つけてしまうと思っていたからだ。
聡くんが休業していた時、私は4人を見るのも怖くて、もう自担がアイドルをしている姿は見られないかもしれないと思うと不安で、毎日毎日泣いていた。
そもそも私が聡くんのことを好きという気持ちすら迷惑なのかもしれないと自己嫌悪にも陥っていた。
誰かに何かを言われても、全部をマイナスに捉えて、あなたは同担じゃないくせに、と思っていた。
でも結局は、聡くんが健康でいられればそれでいい、そう思い込もうとして、苦しんでいた。
今は戻ってきてくれたから心からそう思えるけれど、あの時は私生活も忙しかったし、余裕なんてなかった。
彼のファンの気持ちがわかるといいたい訳ではなくて、推測すると胸が痛むだけで、でもこんな言葉をかけてほしいわけでもないのだろう。
それでも、自然消滅かのように離れた人と、悲しみを残して離れた人がいて、そんな人たちのことをきっと思って歌った曲があるんだよと言ってみたい。
初日の挨拶で、聡くんは、
「これからも皆さん応援してください。っていつも言うんですけど、最近、メンタルが強くなって、自分らしくステージに立てているんです。だから皆さんのことを応援させてください。」
「みなさんも自分を大事に、自分を愛して。これはよくマリちゃんが言っていた言葉なんですけれども、自分を愛さないと周りの人を愛せないですから。その言葉を大事にして、これからも人生を歩んでいってほしいです。」
と言っていた。
帰ってきてから、聡くんは、お休みしている間に、自分と向き合うことができた、今はありのままの自分でいられている、と発言していた。
舞台『こどもの一生』を経て、コンプレックスだった自分の声を受け入れられた、とも言っていた。
十分すぎるほど強かった聡くんは、最近になって、しなやかな強さを手に入れたように思う。
真面目で、真っ直ぐな勝利くんは、堂々とセンターに立ちながらも、自分を出すようになった。
頼れる兄貴であり続けている風磨くんは、ますます活躍の場を広げ、兄貴でいなくていい場所もできた。
デビュー当時から前を見て走り続けていた健人くんは、振り返るようになった。
一人一人成長したSexyZoneが、ようやくしっかりと噛み合った歯車が、大きな力を生み出すまであともう少し。
そう思っている。
散々語ってきたが、この曲は以下の動画の4:03くらいから視聴できるので、もし音源をもっていない方がいたらここから聴いて欲しい。
Top J Recordsの公式サイトからも視聴できる。
ALBUM 「ザ・ハイライト」 2022.06.01リリース | Sexy Zone | Top J Records
こんな曲を歌われてしまったら、離れようにも離れられないし、もしいつか、離れてしまったとしても、どうにかしてSexyZoneのことを、SexyZoneが好きな今のこの瞬間のことを、忘れないでいたいと思う。
「夢みたいに綺麗に消えてOk?」
この答えは、Noだ。